二十四節気・立夏

立夏

夏が始まりました。
立夏は暦上では夏の始まり。
春分と夏至の中間にあたり、この日から立秋の前日までが夏になります。

爽やかな風が吹きわたり、花も緑も鮮やかな、一年で一番過ごしやすい季節です。野に山に、植物の散策も楽しく、アウトドアが楽しい今頃ですね。

とはいえお肌に大敵な紫外線もとても強くなる季節。

3月ごろから強くなりはじめた紫外線は5〜7月にピークを迎えると言われています。
陰陽学では、春分から夏至までの期間、「陽」が地上に姿をあらわし、どんどんと勢力を増強していきます。陽の強烈なエネルギーに負けない対策が必要になりますね。

薬膳では、美肌を保つために「乾燥を防ぎ肌の潤いを保つ」「気と血を補い良い血色やハリを保つ」「余分な熱を冷まし炎症を防ぐ」など内側から輝く体づくりにアプローチしていきます。
そして何より大切なのは、外敵に負けない元気な体ですね。
元気を蓄えて免疫力を上げ、体の表面から侵入しようとする悪いものを追い払う薬膳をご紹介します。

鰹と独活(ウド)のてこね寿司

目に青葉…といえば「初鰹」。
「目に青葉 山時鳥(ほととぎす)初松魚(かつお)」という山口素堂の俳句は有名ですね。
夏の頃の戻り鰹とは違ってさっぱりした鰹です。

この時期、黒潮に乗って北上する鰹は江戸の人々の大好物でした。「粋」を大事にした江戸の人たちの初鰹人気は「女房子供を質に出しても食え」と言われるほど過熱したこともあるのだそう。1812年に歌舞伎役者・中村歌右衛門が一本三両(今で言えば20万円ぐらいでしょうか)で購入したという記録もあるそうですよ。
ただし庶民は水揚げが多くなる旬を待って美味しくお得に食べていたんですって。

薬膳では、元気や血の素となり、消化器官を健やかに保つ食材でもある鰹。醤油漬けにしてご飯に載せたてこね寿司は、強い日差しの下で遊んだ肌や体の回復に大いに味方してくれます。

独活

独活は薬膳では体の中の「風湿」を取り除くと言われる食薬です。中医学でいう「湿」とは体内の余分な水分のことですが、「水」とは区別して使われます。「霧のような」「沁みるような」感覚で、「頭が重く痛む」「体が重く感じる」ような症状を引き起こします。

この「湿」の邪気が筋肉や骨に侵入したときに使われるのが「袪風湿」の食薬で独活は代表的なもの。

生のまま味噌や酢味噌をつけて食べるほろ苦さは、春の野山のパワーを体にとりこむような格別の美味しさです。

大葉・生姜、薬味の力

香りのよい香味野菜は、体表の悪い邪気を吹き飛ばしてくれる食材が多く、生姜や大葉はその代表的なものです。
中医学では、生姜や大葉、ネギや茗荷のような香味野菜は、温める力と辛味で発汗させ、体の表面、皮膚や筋肉から体内に侵入しようとする邪気を追い払う力を持つと考えられています。

薬膳メモ

平/甘腎脾/補腎益精、補気健脾
独活微温/辛苦肝腎膀胱/袪風湿、補益肝腎
大葉温/辛肺脾/発表散寒、解毒
生姜微温/辛肺脾胃/発汗解表、解毒
平/甘脾胃/補気健脾