七十二候・牡丹華<ぼたんはなさく>

牡丹華

春の末候、牡丹の花が咲く頃の七十二候。「牡丹華」で春は終わりです。

薬草として中国から伝わってきた牡丹は、平安時代に書かれた枕草子にも描写があるなど、日本でも愛されてきた花です。絵画や文学・俳句や短歌でも人気のあるテーマですね。ちなみに「牡丹」の季語は夏ですが、風情豊かな冬牡丹や寒牡丹は冬の季語になります。
20センチもある大きな花、上品な香りは王者の風格が十分。「唐獅子牡丹」は高倉健さんの映画の印象が強く任侠の象徴のようですが、古くから陶磁器や漆器、家具などの文様に好まれてきました。

生薬としての牡丹は根の樹皮を乾燥させたもので、女性特有の体のトラブルに使われる漢方薬に多く配合されています。

龍眼棗茶と蓮の実の蜂蜜煮

養心安神

春の終わり、ゴールデンウィークの頃は、疲れが心に現れてくる季節でもあります。

中医学での五臓の「心」は、心臓が司る体内の循環と、精神面の「心」をコントロールする働きを合わせ持つと考えられていて、その「心」が弱ると、不眠や動悸、めまいなどの不調を引き起こすと言われています。

なんとなくソワソワしたりドキドキしたり。不安だったり集中できなかったり。 新しい環境で頑張っている人ほど、知らないうちに精神面の疲れがたまっているものです。

そんなときにオススメなのが、龍眼(りゅうがん)や棗(なつめ)、蓮の実といった「養心安神」の食材です。ゆっくり煮てそのままお茶としてスープを飲んだり蜂蜜を加えたりして優しい甘さでリラックスしてください。

龍眼

龍眼(リュウガン)は、ライチに似たフルーツで、中国やインドが原産です。
薬膳では、血と心を補う生薬として乾燥したものを「龍眼肉」と呼んでお茶やスープによく使います。

「一日に3粒のナツメを食べると、一生老いない(日食三顆、終生不顕老)」といわれ、世界3大美女の1人である楊貴妃も食べていたと言われるナツメは、手軽に食べられる生薬の一つ。
血や元気を補い、疲れや胃腸の不調のときにも積極的にとりたいフルーツで、薬膳には欠かせません。
乾燥したものも美味しいですが、皮に切れ目を入れて柔らかく煮ると甘みが引き立ちます。

蓮の実

中国やベトナムではデザートでもよく食べられる蓮の実は、精神を安定させる働きがあると言われる生薬でもあります。
茹でるとほっくりとしてとても美味しく、蓮の実の甘納豆もおすすめ。
蓮の実の芯のお茶「蓮芯茶」は余分な熱を覚まして心を落ち着かせるお茶として、よく飲まれています。

薬膳メモ

リュウガン(龍眼肉)温/甘心脾/養心安神・補益心脾
ナツメ(大棗)温/甘心脾胃/補中益気・養血安神
蓮の実(蓮実)平/甘渋心脾腎/益腎養心
蜂蜜平/甘脾肺大腸/補中緩急・潤肺止咳・潤腸通便