七十二候・鱖魚群<さけのうおむらがる>

さけのうおむらがる

海で大きく育った鮭が、産卵のために生まれた川に戻ってくる頃の七十二候。
広い外洋に出た鮭がどうやって生まれた川に帰ってこられるのか、そのメカニズムは諸説ありますが、臭いを覚えているという説が有力なのだそうです。
しかし鮭の回遊ルートはとんでもなく広範囲。
大きく育つまでの数年の間に、ベーリング海からアラスカ湾を通って何度も大陸間の移動を繰り返します。
太陽の位置や磁気、海流の流れなどいくつもの情報を駆使しながらダイナミックに旅をして、日本に近づいた最後の最後で母なる川の臭いを思い出すのでしょう。
いつもの食卓の鮭を美味しく育てているのは、私たちの知らない世界の水と生物なのですね。

鮭の色は高貴な色

サーモンピンクとして使った色は「浅緋」という色。
「浅緋」は「うすきひ」と読み、あさあけ、うすあけとも呼ばれる茜で薄く染めた緋色を指します。
この色は紫や青系の色に次ぐ高貴な色として、聖徳太子の定めた冠位十二階に始まる衣服で冠位を示す日本の衣服の歴史の中で尊重されてきました。
同じ赤でも、茜、紅花、蘇芳など染める植物によって色味が変わります。茜で染めた「浅緋」はわずかに黄味がかった薄い紅色。夕暮れ時の空の形容に使われる茜色のグラデーションがイメージされます。

暗い夜の川に光る、群れなす鮭の鱗と、赤く染まった産卵期の鮭のお腹のイメージ。①はとろサーモンの色。美味しそう。③はお弁当の焼き鮭を思い出す。

design note

#323233
#979799
#afafb0(銀鼠 ぎんねず)
#df7163(浅緋 うすきひ)

源流明朝SB
筑紫新聞明朝
lumios typewriter tape

読んでくれてありがとう