七十二候・紅花栄<べにばなさかう>

べにばなさかう

紅花が花の盛りを迎える頃の七十二候。

ベニバナ(サフラワー)は、アフリカから地中海沿岸を原産とし、平安時代に菅原道真が日本に伝えたとされています。日本では、お化粧に使う紅として、また布を真紅に染める染料として鮮やかに歴史を彩ってきた植物です。
江戸時代、紅花を丸く固めた紅餅は、金よりも価値があるといわれる高価で貴重なものでした。山形県最上地方で盛んに栽培されたことから、今でも山形県の県の花になっています。
ベニバナ油(サフラワーオイル)や生薬の「紅花(コウカ)」など食用の価値も高い紅花。生薬としては体を温めて血行を良くする働きがあるとされ、冷えによる生理痛などの時にお茶として飲まれたりします。

ただ七十二候の「紅花栄」には諸説があり、ここでいう「紅花」は文字どおり「紅い花」を指すのではないかとも言われます。日本で紅花が盛りを迎えるのは7月ごろですし、今ごろの季節には新緑によく映える赤い花がよく目に入る頃でもありますものね。
すべての紅い花を讃える七十二候という説に軍配を上げたくなります。

紅 くれない

「紅色」は紅花で染めた布の色ですが、真紅に染めるには大量の紅花を使うのでとても高価な限られた人しか身につけられない色でした。
使う量が少なくなるほど色は淡くなり、「退染(あらぞめ)」「一斤染(いっこんぞめ)」「薄紅(うすべに)」と名前が変わります。
「韓紅(からくれない)」は紅花だけで染められた赤で、一定の地位や官位等を持つ人以外には禁じられた禁色(きんじき)です。

一番目の色は庶民にも許される「赦色(ゆるしいろ)」の薄紅、二番目は禁色の「韓紅」。

design note

#d7003a(紅 くれない)
#e95464(韓紅 からくれない)
#f0908d(薄紅 うすべに)
#33000e(※「紅」の同一色相、低明度の色)

源流明朝SB
筑紫新聞明朝
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