七十二候・款冬華<ふきのはなさく>

ふきのはなさく

雪の中でふきの花(フキノトウ)が開く頃の七十二候。

ふきのとうは日本中に自生する野草、ふきの若い花芽です。
葉が出る前に地下茎から花芽だけが伸びて花を咲かせます。ふきのとうには雄花と雌花があり、雄花だけが花粉をつけます。そのため雄花は黄色みがかった白、雌花は白っぽくて受粉後に綿毛をつけて種を飛ばします。
花びらのように見えるのは苞(ほう)。天ぷらを食べるときに雄花か雌花か確かめてみたら、より一層ふきのとうが愛おしくなるかもしれませんね。

冬眠から目覚めた熊は、真っ先にフキノトウを探して食べるという言い伝えもあるそうです。
ほろ苦い味には、冬眠中に溜まった身体の老廃物を流してくれる効果があり、胃腸を目覚めさせてくれます。春の山菜が美味しいのは身体が欲しているからなのですね。

緑のバリエーション

七十二候は季節に特有の自然を捉えた名前です。
冬から春にかけて、植物の芽生えを表したものが多く、その度に緑の色を探します。
日本古来の色は緑のバリエーションが豊富で、一様に緑といっても植物によって微妙な違いがあり、これを色に写しとってきた感性が日本人の美学なのでしょう。この感性はほんとうに美しく、日本人として誇らしいものだと思います。

「白緑」「裏葉柳」という白っぽい緑の色を引き立たせる黒橡(くろつるばみ)の色は、ふきのとうの根元の色です。

design note

#c1d8ac(裏葉柳 うらはやなぎ)
#d6e9ca(白緑 びゃくろく)
#aacf53(萌黄 もえぎ)
#544a47(黒橡 くろつるばみ)

源流明朝SB
筑紫新聞明朝
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