七十二候・霞始靆<かすみはじめてたなびく>

かすみはじめてたなびく

気温が上がり、春霞がたなびき始める頃の七十二候。

春になって空気が潤いをおび、遠くの景色がぼんやりと霞んで見えることを「霞」と呼びます。霞は、大陸で生まれた高気圧が運んできた細かな塵が、太陽光を様々な波長の光で散乱させるために空や空気が白っぽくなる現象で、春の季語です。

「霞」に似ている「霧」は、もっと近くの視界がぼんやりすることで、秋の季語です。
二十四節気「立秋」の末候「蒙霧升降(ふかききりまとう)」と対をなす春の霞。
日本語には「遠霞」「八重霞」「薄霞」など霞を表現する言葉が多くあり、この美しい表現が愛されていることがよくわかります。

霞色(かすみいろ)

前候「土脉潤起」の「潤色(うるみいろ)」とほぼ同じ「霞色」。
「霞色」は赤紫系のグレー、「潤色」はオレンジ系のグレーです。
冬から春になって潤いを帯びてきた空気を表すニュアンスカラーは、着物の色味として私たちには馴染みのある配色です。

ちなみに霞を意味する英語は「haze」や「mist」。
「mist」は、「fog」より薄く、「haze」はさらに薄い霧を指すそうです。
ミスティーグリーン、パープルヘイズなどのやはりニュアンスカラーの名前に使われています。日本古来の色だと「柳鼠」「藤鼠」でしょうか。

design note

#c8c2c6(霞色 かすみいろ)
#a3a3a2(薄墨色 うすずみいろ)
#c099a0(梅鼠 うめねず)
#e8d3c7(灰梅 はいうめ)

源流明朝SB
筑紫新聞明朝
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