七十二候・乃東枯<なつかれくさかるる>

なつかれくさかるる

乃東(なつかれくさ)が枯れる頃の七十二候。

乃東は、青紫色の花穂をつけるシソ科の多年草で、一般的には「靫草 (うつぼくさ)」の名前の方がおなじみかもしれません。冬至に芽を出し夏至に枯れると言われ、周りの草の勢いが盛んになる今ごろ、花を終えてひっそりと枯れていきます。
「靫(うつぼ)」は矢を入れて背負うための道具で、形が似ているためこの名がつきました。

枯れて茶色くなった花の穂は、生薬として用いられます。生薬の名前は「夏枯草」、煎じて口内炎や扁桃炎、腎炎や膀胱炎に対する利尿薬にします。ヨーロッパでも利尿剤・外傷薬として古くから使われてきた歴史があり、「self-heal」と呼ばれるそうです。日本風に言うと「医者知らず」といったところでしょうか。

冬至の初候「乃東生(なつかれくさしょうず)」の対になっている七十二候です。

青朽葉 あおくちば

くすんだ緑みの黄色「朽葉」の中でも青味がかった色が「青朽葉」です。
『枕草子』に「汗衫(かざみ)は夏は青朽葉」とあるように、涼しげな色調が好まれて暑い時期の衣服に用いられました。
乃東の花の色は青味がかった紫色で、この色を「紺桔梗 こんききょう」で表しました。
朽葉色の渋いグラデーションに涼しげな青紫色、郷愁を誘う配色です。

design note

#dcd3b2(砂色 すないろ)
#ada250(青朽葉 あおくちば)
#d9333f(紅赤 べにあか)
#4d5aaf(紺桔梗 こんききょう)

源流明朝SB
筑紫新聞明朝
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