七十二候・虹蔵不見<にじかくれてみえず>

にじかくれてみえず

二十四節気・小雪の初候、「虹蔵不見」が始まりました。
11月22日から26日頃がこの季節です。

虹を見ることが少なくなる頃という意味の七十二候。
空に大きくかかった虹を見て、心を動かされない人は少ないのではないでしょうか。「空気中の水の粒に太陽の光が反射して起こる現象」と知っていても、虹の橋の向こうには…と夢想することがどなたにもあると思います。

ペットを飼っている人なら、「虹の橋のたもとに緑の草原の楽園があり、亡くなったペットはそこで再び出会う日まで楽しく暮らしている」という詩を聞いたことがあるのではないでしょうか。先に旅立った小さな友だちと重ねて「虹の橋」の言葉は胸をキュンとさせます。
そのため、「虹が見えない」季節には寂しさを感じるのですが、実際には虹がまったく出ないわけではなく、ぼんやりとした冬の虹がかかることはあるそうです。

「虹が見えない」のは、太陽の力が弱くなり、また空気も乾燥し、虹が現れる条件が少なくなるため。二十四節気「清明」の末候「虹始見(にじはじめてあらわる)」の対候でもあります。「虹始見」は、太陽の力が増すことを表しているのですね。

「虹蔵不見」の色は「赤紅」 (あかべに)

「赤紅」は鮮やかで濃い赤色のことで、江戸初期から愛用された色です。
この時期になると、毎年大きなふじりんごが届きます。ふじりんごは落ち着いた、ちょっとざらっとした紅色、まさに「赤紅」色をしています。
りんごの色は品種によってさまざまで、明るい朱色から暗紅色のものまでありますが、明るさの中に落ち着きもある「ふじ」の色は、「かぞくの本」のような写真を使った紙面にも使いやすく華やかさを演出する配色の王道になりそうです。

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#c53d43(赤紅色)
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源流明朝SB
筑紫新聞明朝
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