七十二候・玄鳥至<つばめきたる>

つばめきたる

冬の間、暖かい南の島々で過ごしていたツバメが海を渡って、日本に帰ってくる頃の七十二候。

別名「玄鳥」、黒い鳥のツバメは、そのスリムな姿と懸命な子育ての様子、巣からあふれんばかりに乗り出すヒナの可愛らしさから万民に愛されている野鳥です。

春にやってくるツバメが、冬の間過ごしているのは、2000〜3000キロも離れた東南アジアの島や国。北海道から沖縄の距離を小さな体で往復します。
移動中、海の上での休息は取らず、半分眠りながら長い距離を飛び続けて、去年作った軒先の巣に帰ってくるのです。
ツバメの仲間は北半球ではどこでも見られ、オスカー・ワイルドの童話「幸せな王子」にも登場します。エジプトで冬を越そうとしていたツバメが王子の銅像に声をかけられるこのお話。
南に渡りたい気持ちを諦めて、王子と運命を共に、と覚悟する場面が大好きでした。

「玄鳥」とは「黒い鳥」のこと。ツバメはまさに黒い鳥です。
最上級の礼服、燕尾服は、裾がツバメの尾のように割れているスタイルの紳士物の上着のこと。
「黒」というと重いイメージですが、生まれた時から黒い燕尾服を着て空を自由に飛び回るツバメからは軽やかさしか感じません。
スマートに黒を着こなすには、ツバメのような細くしなやかなスタイルが不可欠なのかもしれませんね。

design note

#000000(黒)
#ffffff(白)
#007bbb(紺碧 こんぺき)
#d3381c(緋色 ひいろ)

源流明朝SB
筑紫新聞明朝
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