七十二候・梅子黄<うめのみきばむ>

うめのみきばむ

梅の実がふっくら成長し、黄色く色づいて熟しはじめる頃の七十二候。

万葉集にも多く登場するなど、古くから桜に並んで日本人に愛されてきた梅は、中国が原産ではじめは薬木として渡ってきたとも言われています。
梅干しが日本の文献に登場するのは平安時代の時代の10世紀だそうです。その後戦国時代にはすでに食中毒防止や消毒・脱水の治療に使われるなど戦略物資として欠かせないものとなり、武将たちは梅の植林を奨励しました。

中国では紀元前から塩と並ぶ最古の調味料として使われてきた歴史があります。
人間の側で私たちの役になってきてくれた梅の実を、今年も手に取りシロップや梅酒に漬ける時、歴史の感慨に浸ってしまいそうです。

寒い冬に、渋くたたずむ木に静かに香って花を咲かせる梅の木は物言わぬ武士のようなのに、夏になって青々を葉を繁らせてたわわに実をつけている姿は生命力に溢れています。
梅雨のじめじめした空気の中で、梅の実が並ぶ店先がいっそう生き生きして見えるこの頃です。

杏色 あんずいろ

梅酒に使う青梅は美しい緑色をしていますが、熟すにつれてだんだんと黄味を帯び、一部が赤く色づいてきます。
完熟梅でシロップを作ると、傷みやすかったり崩れやすかったりと扱いに注意は必要ですが、濃厚な果実の風味を楽しむことができます。一晩冷凍してから漬けると砂糖が浸透しやすいと言われています。シロップから取り出した梅のジャムも魅力的。

この完熟梅の色は同じバラ科の杏の実とよく似ています。
美しく甘い香りがしてくるようなオレンジ系のグラデーションを薄墨の地色に配色しました。

design note

#f7b977(杏色 あんずいろ)
#ee836f(珊瑚朱色 さんごしゅいろ)
#d9333f(紅赤 べにあか)
#474a4d(藍墨茶 あいすみちゃ)

源流明朝SB
筑紫新聞明朝
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