七十二候・魚上氷<うおこおりをいずる>

うおこおりをいずる

凍っていた川や湖の氷が割れて、その間から魚が飛び跳ねる頃の七十二候。

渓流釣りの好きな人なら、岩魚や山女魚を求めて釣竿片手に山へ出かける季節を前にワクワクしている頃かもしれませんね。
実際には2月の今頃は、まだまだ寒さ厳しく、やっと氷が緩んで、薄氷の下に泳ぐ魚の影が見えるか見えないか、というところ。
魚は、あたたかい日には水面近くまでやってきて、寒い日にはまた水底でじっと息を潜めます。
本格的な春がやってきてはじめて水面あたりを泳ぐ元気な姿が見られるようになります。

なお、「春告魚」と呼ばれるのは、海に泳ぐニシンやメバルのこと。春先に旬を迎え、よく釣れるようになるのだそうです。
関西では、魚へんに春の文字通り、「鰆(サワラ)」が旬の魚。関東ではもう少し早く冬の頃に旬を迎えます。

薄氷(うすらい)の色

田んぼや池、あるいはちょっとした水たまりに薄く薄く張った春のこおりを薄氷(うすらひ=うすらい)と呼びます。
パリンと割れやすく、あたたかい日差しを感じるとあっという間に溶けてしまうことから儚い印象のある言葉です。

昔行ったコペンハーゲンの街で、早朝の橋に張った薄氷

この色を表したブルーは「薄花桜(うすはなざくら)」、さらに淡い「勿忘草色(わすれなぐさいろ)」と濃い「瑠璃色(るりいろ)」のグラデーションです。
この場合の「花」は鮮やかな青の「ツユクサ」ですが、「桜」の文字があっても違和感を感じません。薄いブルーの儚さを表す素敵な名前です。


design note

#5a79ba(薄花桜 うすはなざくら)
#89c3eb(勿忘草色 わすれなぐさいろ)
#ffffff(白)
#1e50a2(瑠璃色 るりいろ)

源流明朝SB
筑紫新聞明朝
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