七十二候・鷹乃学習<たかすなわちわざをならう>

たかすなわちわざをならう

鷹のヒナが飛ぶことを覚える頃の七十二候。

スズメやメジロなど小さな鳥と異なり、鷹は子育ての期間が長いことで知られます。抱いた卵が孵るまで40日、巣立ちまで40日、春に生まれた鷹のヒナはやっとこの頃飛ぶ練習を始めます。

空中で獲物を捕らえる高度な飛行術は、親鳥からの直伝。鷹は、単独行動が基本の鳥なので、親子で飛ぶ鷹を見られるのはこの時期だけなのだそうです。この親子鷹の姿から季節を表す先人の感性は、本当に美しいと思います。
ちなみに七十二候の本家、中国でもこの時期の七十二候は「鷹乃学習」。

子母澤寛の小説「父子鷹」に由来する「親子鷹」という言葉は優れた能力を持つ親子のスポーツ選手などの例えとしてしばしば用いられる言葉です。

風景スケッチ

父は若い頃から絵を見るのが好きで、私が子どもの頃からよく美術館やデパートの絵画展などに連れて行ってくれました。子どもの私は美術館よりも動物園や遊園地に行きたかったのですが、そんな私を飽きさせまいと、父はよく「目を細めて見ると、あの木の間にクマが見える」とか「鳥の声が聞こえる」とか興味を引くようなことを言いました。

どんなに見たって木しかないよ、と当時の私は退屈な絵画の並ぶ部屋からどうやって逃げ出すかしか考えていなかったのですが、父の目には本当に風景画の中に息づく生き物が見えていたんだな、と今は思うようになりました。
なぜなら私の目にも見えるようになったからです。

季節ごとに姿を変えていく植物、植物とともに生きる大小とりどりの生物、それらがひとかたまりの林になり森になり山になり、間を川が流れ、空に還った水が雲を作る。絵筆を持つ人の目にダイナミックに見えている大きな世界の一瞬が、描く人の驚きや感動を巻き込みながらキャンバスの上に再現されていく。

父のスケッチの多くは風景画でしたが、そんなことを考えていたのかどうか。今ではわかりません。

「鷹乃学習」の候には、飛ぶ鳥の目線で描いたような野山のスケッチを選びました。
後年、あまり健康ではなかった父の魂が自由に空を飛んでいるように風景を見ているようで、とても好きです。

父のスケッチを作品集にまとめた話はこちらの記事にまとめています。よろしければお読みください。

青い鳥書房では、写真だけではなく絵画や書道などの作品、手芸や工芸などの立体作品も写真に撮って本にまとめる「かぞくの本」を作成しています。
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こちらは薬膳茶とおやつのシリーズ「熊猫薬膳茶房」のインスタグラムより。
「鷹乃学習」のおやつは、ベトナムの伝統的なスイーツ・チェー。豆や米、いもなどを甘く煮てタピオカや果物などと合わせた楽しいデザート。暑さ負け予防によい緑豆と甘いココナッツミルク、バナナを合わせています。かき氷に乗せる食べ方も人気ですが、暖かくして食べて美味しい。
これらの写真をまとめた本の記事はこちらです。よろしければお読みください。

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